スキップ
北村薫の『スキップ』を再読。去年、キャラメルボックスの舞台を観てから、何度となく手を伸ばしかけたけど、今日どこからともなく最後の一押し。
読み始めると、舞台の情景がよみがえる。真理子を演じた、岡内さん、坂口さんの声が聞こえ、動く姿が本から飛び出してきそうな勢い。そして、一つ一つのエピソードが文章を通してさらなるイメージがリアルにふくらむ。
成井豊という脚本家は凄まじい。この原作をあの舞台に昇華してしまったのだから。東京にまで見に行った価値はあった。成井さんが2004年に読んだおすすめの本に加納朋子の『いちばんはじめにあった海』があったのはちょっと嬉しかった。
奥付をみると「1995年8月20日 発行」とある。最初に読んでから十年の月日が流れていると言うことにびっくりした。十年前に読んで感じた事と、今日再び読んで感じた事の差があまり無かった。今はそれを素直に受け止めて喜べる。
北村作品すべてに通じるとは思うのだけど、『スキップ』は言葉の宝石箱。一つ一つの言葉が素敵に輝いている。その一言一言に、一文一文に、心を動かされる。