雨しみた 色の変わった 街路樹と アスファルトには 冬の囁き
星・雲・風について一言
片隅で 言葉を空に 投げたなら 誰かの耳に そっと届いて
土を読み 次の花まで 待つ時に 雨の匂いの 言葉が開く
風景に 溶け込んでいて 風に舞う しなやかな髪 つむじをかたどる
雷鳴が 空を切り裂く 晩夏なら 歌う姿に 光を重ね
長靴で 踊るダンスも 梅雨だから 色とりどりの ステッキまわる
雨音を メトロノームに 変えるから 止まる頃には 指もほどけて
粉々に 消え去ることが 新たなる 旅のためだと 空で光った
春を待ち 青色保つ 葉の裏に 厳しさ見つけ 溢れる嗚咽
爽やかな 青空満ちて 春想う 季節重ねた 北風の下
突き刺した シャベルはどこに 消えたのか 春が来たなら 見つかるものか
雨などに 香りはないと 生きてきて 足を止めたら 森の夕立
晴れ間には 淡い光が 広がって 涙腺ゆるみ 乱反射する
見てるのが 違う空だと 知ったのは 地球の影と 数えた月日
再会を 歌った声は 枯れ果てて 流れる雲に 微笑み託す
迷うのが 愚かなことと 決めつけて 霧をまとった 森は消え失せ
従順な 頭脳ばかりを 作り出し 虹が架かった 空も無視する
本質を 見抜こうとして 傾いた 渦巻く風に 切り刻まれて
極大と 極小にある 単純さ 思い至らぬ 雷鳴の中
さわやかな 甘酸っぱさを 誘う声 飛び立つように 花弁が舞う
天気図を 斜めに読んで 下駄を履く 明日天気に しておくれ空
逃げていく 夏の匂いに ヒグラシの 微かな声は 想いの中で
手が触れた 明日の夢に 出会う時 真っ赤に染まる 空は怖くて
足元の 地面が消えて 見えるのは 止まって見える 大空の青
深くまで 潜って見えた 風景は 共有できず すれ違うだけ
肌に刺す 風が冷たい 牙となる 葉の色からも 緑があせて
棘つかみ 掌染めた 赤色と 朝に沈んだ 月の静かさ
ひぐらしの 鳴き声さえも 遠くなる 乾いた風に オリオンのぼる
傘さして 濡れないように 護っても 風に殴られ 水と戯れ
波風が 波紋を作り 静寂を 見せかけにする 素直な湖面